本記事の内容
- 炎上プロジェクトとは何か?
- 炎上プロジェクトが起きる原因
- 炎上プロジェクトに参加するメリットとデメリット【体験談】
- 炎上プロジェクトは身体・精神を壊される前に逃げるべき!
本記事の信頼性
この記事を書いている僕は大手IT企業勤務の30代のシステムエンジニアです。
・システム開発歴7年以上、プロジェクトマネジメント歴5年以上
・プログラミング歴8年(c++,java,bash,pythonなど)
・情報処理試験(応用情報、DBSP)を保有
・AIを活用したシステムの特許3つ認可済
・Udemy講師
炎上プロジェクトとは何か?どのように対処するべきか?
というテーマで話したいと思います。
私は数年前、何度か炎上プロジェクトに携わったことがあり、毎日終電、休日出勤、月の残業100時間超などを過去に経験したことがあります。
最近は働き方改革、不払い残業の撲滅など、法令遵守の徹底がなされ、炎上プロジェクトでも労働者を守る動きが増えていますが、炎上プロジェクトは会社の中でも散見されます。
そこで、私の経験内容も踏まえて、炎上プロジェクトとは何か?炎上プロジェクトに参加してしまったとき、どのように対処するべきか?について説明します。
もくじ
炎上プロジェクトとは何か?
炎上プロジェクトとは「当初計画を実施できないにもかかわらず、適切な対策が実施できていないプロジェクト」です。
これは計画通りに上手くいかないのに、無理やりプロジェクトを推進するため、以下のような事象が発生します。
・事前に取り決めた予算の範囲を上回ってしまう
⇒赤字
・常に残業しなければタスクを完了できない。(残業していても完了できない)
⇒長時間労働
・深刻な課題の解決策が見えないまま納期までの期日は変わらない
⇒スケジュール遅延、納期を守れない
これら以外にも様々な問題が多発しますが、一言で「問題だらけの超やばいプロジェクト」とも言えます。
炎上プロジェクトはどのくらいやばいのか?(具体例)
「超やばい」だけではイメージできないと思いますので、具体例を説明します。
例えば、「5人で6ヶ月の期間で実施する計画のプロジェクト」があったとします。
しかし、8人で6ヶ月の作業量が必要であることが後から分かりました。
この時点で、5人から8人へ作業者を増やさなければならないのですが、対策が実施されない場合、炎上プロジェクトになる可能性が高いです。
・計画時:
5人×6ヶ月=6ヶ月で30人分の作業
・必要な作業量:
8人×6ヶ月=6ヶ月で48人分の作業
・足りない作業量
48-30=18人分の作業
⇒当初の予算・計画で対応できない
・毎月の担当者の作業量
48人分の作業量÷5人÷6ヶ月=1.6人分の作業量
⇒5人全員が毎日1.6人分の作業をしなければならない
⇒1日の労働時間が7.5時間なら、毎日12時間労働
このように炎上プロジェクトとは、問題が発生しても対策ができていないため、長時間労働などが多発してしまいます。
繰り返しになりますが、とにかくヤバい状態です。
炎上プロジェクトが起きる原因
私は炎上プロジェクトが発生する最大の原因はプロジェクトマネージャーの能力だと考えています。
なぜならば、プロジェクトが炎上する要素は以下のようなものがありますが、これらはプロジェクトマネージャー(PM)がコントロールするべき要素だからです。
※企業によっては、プロジェクト責任者(PMの上司)の責任となります。
・見積りが過少だった
⇒見積もっているのはプロジェクトマネージャー
・仕様変更が多発した
⇒クライアントのスコープ管理・調整ができていない
⇒スコープ管理はプロジェクトマネージャーの仕事
・体制に有識者がいなかった
⇒要員計画はプロジェクトマネージャーの仕事
…etc
プロジェクトマネージャーが問題を早期発見・解決できない場合、炎上プロジェクトになりがちです。
逆にプロジェクトマネージャーが優秀な場合、問題が発生してもプロジェクトを軌道修正できるため、炎上プロジェクトにはならない傾向があります。
炎上プロジェクトに参加するメリットとデメリット【体験談】
僕は実際に1~2年目のときに炎上プロジェクトを体験したことがあります。
今振り返ってみると、炎上プロジェクトはすごくつらいものでしたが、その分成長のチャンスもありました。
そこで、炎上プロジェクトに参加するメリットとデメリットをお話します。
炎上プロジェクトに参加するメリット
僕が炎上プロジェクトに参加して感じたメリットは以下です。
■成長のチャンスが多い
・人が足りないので、先輩社員の仕事を任せてもらえる
先輩社員も余裕がないため、自分がやらせて下さい!と言えば、大抵の仕事を任せてもらえます。
実際に2年目のときに3~4年目の先輩がやるべき仕事をたくさん任せてもらえました。
・プロジェクトに必要なことであれば、大抵チャレンジさせてもらえる
当時の所属部署ではクライアントへの説明などは先輩社員の帯同が必須だったのですが、業務多忙のため、私一人でクライアントへ訪問、顧客調整を実施することにチャレンジできました。
失敗したこともありましたが、他の人よりも早く失敗・成功の体験を積むことができました。
・自分の限界を知れる
先輩社員の仕事など、自分の現状の能力を上回る仕事をこなすことで、現状の自分の実力と不足するスキルが分かります。
自分はできない。という体験ができるので、どうすればできるようになるのか、を考え実行することができます。
・実績が作れる
炎上プロジェクトでの成果は自分の実績になります。
実績があれば次の仕事に繋がりますし、他のことにチャレンジするときも過去の実績から、どのくらいなら頑張れそうか?などの感覚も掴めるようになります。
炎上プロジェクトに参加するデメリット
僕が炎上プロジェクトに参加して感じたデメリットは以下です。
■長時間労働がつらい
・体力的にきつい
毎日終電、休日出勤も実施する。のような生活は単純に身体がきついです。
・自由な時間が取れない
プライベートの時間が取れなくなります。
僕の場合は少なくとも平日は自宅で寝るだけで、自分の時間を作ることは一切できませんでした。
若手の時は仕事が好きで自己成長ができるから、そこまで気にならなかったのですが、今は無視できないポイントだと思います。
・メンタルがつらい
これはプロジェクトによるところもありますが、炎上プロジェクトになると周囲の雰囲気が悪くなる場合があります。
些細な事で怒る人も出てきたり、あるいは自分が理不尽なことで怒られることもあります。
僕の場合は苦労を共に過ごせる年次が近い仲間がいたので、乗り越えられましたが、仲間がいなかったら精神的につらかったと思います
以上が、僕が炎上プロジェクトに参加して感じたメリット・デメリットです。
正直な感想としては「振り返ると、すごく成長することができて良い経験だったが、もうやりたくない。」といった感じです。
炎上プロジェクトは身体・精神を壊される前に逃げるべき!
僕の経験から炎上プロジェクトのメリット・デメリットをお話しましたが、メリットよりもデメリットの方が大きいと感じる人も多いと思います。
特に炎上プロジェクトに参加している人で責任感が強い人はメリット・デメリットなど関係なく、プロジェクトを上手くやらなければならない!と病んでしまうこともしばしばあります。
実際に僕の参加していた炎上プロジェクトでも5~10名の人が離任されていました。
このようなことを踏まえると、僕は「炎上プロジェクトに参加して、つらいと思ったら逃げるべき!」だと思います。
なぜなら自分の人生よりも優先するべきことはないからです。
せっかく仕事ができるようになって出世しても身体を壊してしまって、一生病気で悩み続けることになってしまうのは本末転倒だと思います。
賛否両論あるかもしれませんが、私は豊かな人生を送るためにお金を稼いでいる(仕事をしている)と考えています。
※仕事が好きな人も身体を壊すと仕事ができなくなってしまいます
そこで、僕が考える炎上プロジェクトから逃げる方法について紹介します。
炎上プロジェクトから逃げる方法
・上司と相談する
・産業医を経由して上司を説得する/休職する
・組合を経由してプロジェクトを離任する
・社内の異動制度を利用する
・転職/独立する
※下の方がハードル高めです。
詳しく説明していきます。
上司と相談する
これはシンプルな手段になります。
ただし、「つらいです。辞めたいです。」と言ったところで、「何がつらいんだ?もっと頑張ってみないか?」と言われるケースもあります。
上司を説得するためのコツとしては以下のポイントを抑えることが良いです。
・何がつらいかを明確にする
クライアントが理由で上手くいかない。
・定量的に説明する
労働時間が月○○時間で、つらいなど
・上司にどう動いてほしいのかを明確にする
プロジェクトを外してほしい。
大抵の上司はあなたがいきなりプロジェクトを抜けられると困るため、代替案を相談してくると思います。
あなた:プロジェクトマネージャーがダメダメだから炎上してつらい、やめたい
上司:イケてるプロジェクトマネージャーに変えるから続けてくれ
このような代替案が魅力的ならば、もう少し続けてみるのも手だと思います。
しかし、期待する回答が得られないならば「転職も考えている」という発言をしてもよいと思います。
本気でつらいことを伝えて、それでもダメなら下の対策を実施しましょう。
産業医を経由して上司を説得する/休職する
会社が抱えている産業医に相談する方法や休職する方法があります。
産業医と面談を行う
産業医には会社の人事部などからアポイントを取ることができると思います。
産業医面談を行って、実際に長時間労働・精神的な苦痛について診断してもらえれば、上司も動かざるを得ない状況となります。
また産業医面談で短時間労働の診断が出た場合、残業は禁止になります。
炎上プロジェクトでの長時間労働や上司に対する強硬手段として実施することはできると思います。
休職する
産業医に限らず、医師の診断を受けた上で休職することはできます。
診断書を受領した上で、上司に対し「しばらく休ませてください」と伝えることでプロジェクトを休むことができます。
また、復帰した後、別のプロジェクトに配置される可能性も高いです。
医者の診断に苦手意識がある人は次の対策を見てください。
組合を経由してプロジェクトを離任する
日本の法律では従業員数が10人以上の企業は労働組合を創設する義務があります。
※なければ法律違反
そのため、大抵の方は労働組合に対するアポイントを取ることができるはずです。
労働組合は社員の健康を守るための組織です。
あなたが炎上プロジェクトで仕事をすることが身体的・精神的につらいのであれば、会社にはそれを是正する義務があります。
この義務を行使してもらうために組合へ連絡を取り、自分の身を守ってもらうことができます。
組合を利用するのもなんだか、、という方は次の対策を見てください。
社内の異動制度を利用する
炎上プロジェクトから脱出する手っ取り早い方法は所属部署を辞めることです。
これは勤めている企業によるのですが、私の会社には社内の異動制度というものがあります。
※ない方は申し訳ないのですが、次の最終手段を検討してください。
私の会社では半期に1回、各部署が社内に人材募集をかけるため、そちらに応募して面談を行うというものです。
こちらの面談に合格した人は、数か月後にめでたく別の部署へ異動することができます。(異動前の部署は止めることができない)
このように部署を異動することで、炎上プロジェクトから逃げることができます。
ただし、募集から異動するまでに即時性がないため、つらい時にすぐに実行する手段としてはおすすめできません。
ここまでくると最終手段について検討いただきたいです。
転職/独立する
これはあなたがツライときに最初に思いつく対策かもしれません。
実際に僕の同期も会社がつらくて転職していった人が数多くいます。
※あまり後悔している人はいませんでした。
終身雇用制と呼ばれていた昔と違い、同じ会社で出世することが全てだった時代から変化しています。
今の時代は市場価値を高め、どの企業でもやっていける実力をつけることが重要になります。
そのため、炎上プロジェクトを経験した上で、自分は何がやりたいのか?どうなりたいのか?を改めて整理した上で転職/独立することはありだと思います。
注意ポイント
「炎上プロジェクトがつらい」というだけで、転職/独立することはおすすめできません。
「炎上プロジェクトがつらい」なら、「どういう仕事がしたいのか?」、「自分はどうなりたいのか?」というのを見つめなおした上で、やりたいことができる仕事環境を整えることが重要です。
その手段の一つとして転職/独立があります。
まとめ
本記事のまとめは以下となります。
本記事のまとめ
・炎上プロジェクトはとにかくやばい!
・炎上プロジェクトは成長のチャンスが多い!
・あなたの人生の方が一番大事!炎上プロジェクトで壊される前に逃げろ!
【エンジニアのスキルアップ】Udemyのお得なクーポン
最後に、少しだけ宣伝です。
私はUdemyでエンジニアとしてスキルアップするための講師をしています。
以下のページにお得なクーポンページを設置しているので、ご興味がある方は覗いてみてください。
本記事は以上です!!